松野ひろかずの初質問「人クローン禁止法案」に関して
平成12年11月8日 衆議院 科学技術委員会

古賀委員長 松野博一君。
松野(博)委員 政府提出案、民主党案、両案に対しての質問をさせていただきたいというふうに思います。
 急速なクローン技術の発展によりまして、国民世論の中に、ヒトクローンが現実化をしてしまうのじゃないか、そういう危惧がございますし、また一方で、次世代の主要な産業分野と言われておりますバイオテクノロジーを含んだクローン技術の中で、法整備が未整備であるために研究現場が混乱をして、研究の推進が阻害をされているという状況があるかと思います。
 この二つの観点に基づきまして、一刻も早いヒトクローンの規制に関する法案の成立を望むものでありますけれども、政府案、民主党案、両案もクローン個体の産生の禁止ということに関しては統一した見解をお持ちだというふうに理解をしております。立場の違い、いわゆる争点というふうになっておりますのが幾つかありますけれども、その中でも、特にヒト胚の法的な問題、法的地位の問題を中心に質問をさせていただきたいというふうに考えております。
 その前に、両法案の目的でありますけれども、両法案とも、大きく分類をいたしますと、二つの目的をもって規制をかけようということだというふうに理解をしております。
 一つは、人の尊厳、また社会的秩序を守っていく、この観点。もう一つは、クローン技術が人に応用されることによって、母体、胎児、そして、そこから生まれてくる子供たちの安全性が担保できないという点かと思います。
 母体、胎児、子供たちに対する安全性が担保できないというのは、非常にわかりやすい合理的な論拠でありますし、このこと一つをもってしてもヒトクローンに関する禁止が成立するものと思いますけれども、一つ目の、人の尊厳、社会秩序の維持、このことに関しましては、各種アンケート調査の中で多くの国民のコンセンサスを得ているという問題でありますけれども、一部、ヒトクローンの禁止に対する反対、また、条件をつけた上での限定的な使用の許可を訴える論拠として、子供を持つ自由、その権利、リプロダクションの自由や、今、生殖補助医療が大変な発展を遂げておりますけれども、治療の自由、両点をもって対抗しようというところがあるかに聞いております。
 本法案は大変な重い刑罰を科す法案でありますから、ヒトクローンの禁止、個体産生の禁止ということと、リプロダクションの自由、治療の自由、この二つの対抗する概念がどのような方向性の違いを持つのか、ここを明確にしておく必要があると思いますし、具体的な線引きを提示する必要があるかと思います。この点に関しまして、政府、民主、両方にお聞きをしたいと思います。
大島国務大臣 今、松野委員がお話しされましたリプロダクションの自由、大変国際的、世界的な一つの概念としてあるわけでございます。まさにそういうふうな問題を背景にして、ライフサイエンスあるいはまた生殖補助医学研究というものがどんどん進んでいくというふうな関係があるのだろうと思います。なればこそ、私たちは、まず無性生殖という世界に対してきっちりとした国としての考え方を押さえておかないと、そういう研究が混乱をしていく可能性がある。
 したがって、子供を持つ、持たない、いわゆるリプロダクションの権利や不妊治療を受ける権利は、国民にとって、人間にとって基本的な自由な権利だと私も思っておりますし、そういう意味で、無性生殖によるクローン人間の産生というものを抑えるということは、逆に、通常の生殖を補助する不妊治療という問題のところの研究を、ある意味ではきっちりといろいろな形で議論できる、そういう意味合いを持つものであるし、リプロダクトライトというのですか、そういうものに違背するものではない。無性生殖のところだけはいけませんよ、そういうクローンはいけませんよ、だからそこは、十年という重い刑罰をもって抑えます。
 しかし、有性生殖の議論、先ほどもちょっとお話ししましたが、そのところは、ES細胞の研究も含めて、ある意味ではこれからどんどん発達していかなきゃならぬ、そういうふうな均衡ある考え方を私どもはとっておりますし、リプロダクトライトという概念に無性生殖の禁止、ヒトクローンの禁止というものは違背するものではない、不当に侵害することにはならない、このように思っております。
近藤(昭)議員 お答えいたします。
 クローンの禁止そのものについては、私どもも政府・与党案と基本的には通じていると思うんです。とにかく個体クローン産生については禁止しなくてはいけない、これは私どもも十分に踏まえております。
 そういう中で、御質問のありましたリプロダクションの自由ということでございますが、まずこれをどういうふうに解釈するか。私なりに今お聞きしておりまして解釈しましたのは、子供を産み育てる権利、自由であると解しますと、それにつきましては、現在行われております生殖補助医療、いわゆる不妊治療等で、足りるという表現がいいかどうかわかりませんが、カバーされているのではないか、そういうふうに考えます。
 ただ、例えば、もし幼いころに自分の子供が交通事故あるいは病気で亡くなってしまう、一歳とか二歳とか。そういう子供を、やはりもう一人、子供が病気で死んだあるいは交通事故で亡くなった、だから子供が欲しい。そして、どうせというと言葉はよくないのですが、亡くなった子供に対する思いが強い、できるならばその子供と同じ子供を産みたいというような、そういう権利と解しますと、それはやはり憲法で保障されている自由とは解せないと私は考えます。これは、個の権利というものがあると思います。
 そういう意味では、先ほど政府の方からもお話がありましたように、無性生殖で生まれてくる、ある特定の目的、前に亡くなった子供と同じ子供を産むんだという本人の気持ち、いわゆる生まれてくる子供の尊厳、個の尊厳というものを無視して、親の気持ちでそういった子供を産む権利というものは認められていない、そういうふうに考えます。
 また、治療の自由についてでありますが、特定の病気の治療にクローン技術が大変に役立つという指摘があるわけであります。もちろん、それを私どもは否定はいたしません。例えば、クローン胚を作成し、そこからES細胞をつくり、それをもとに臓器をつくることができれば、拒絶反応の全くない移植用の臓器ができるだろうと言われておるわけであります。また、ミトコンドリア異常症についても、そういった病気を持つ胚の核を他の除核胚に移植することでその病気を防ぐことができるのではないか、そういうふうには言われております。
 ただ、これにつきましても、拒絶反応のない臓器の作成については、マウスにおいて筋肉の幹細胞から血管細胞への転換が成功している。つまり、ほかの方法でもできると言われておるわけでありますし、クローン技術でつくる方法が唯一の方法ではないわけであります。また、ミトコンドリア症の予防につきましても、ミトコンドリアと核内の遺伝子との相互作用には全くまだ不明なところが多いわけであります。治療への応用には、十分な安全性の確保が必要だというふうに考えております。
 そういった意味では、治療の自由といいましょうか、もちろんそういう権利もあるんだと思いますが、これについては、かわる方法があるときにはその方法を使う。クローン技術を使うことには本当に注意をしていかなくてはならない、こういうふうに考えておるわけでありまして、別の方法がとれる場合、その場合にはクローン技術でない方法をとるべきだ、かように考えておるわけであります。
松野(博)委員 両案とも一つの明確な線引きとして、無性生殖であるか有性生殖であるか、この点に基準を置くということだと思いますけれども、民主党提出の法案は、政府のクローン技術規制にプラスして、ヒト胚に対する規制を包括的に行わなければいけないという御意見だと思います。
 ヒト胚の取り扱いを法律で規制していくということ。ヒト胚自体に倫理的な意味での尊厳、敬意を表さなければいけないということは私も同意見でありますけれども、倫理と法律というのは明確に違う次元の問題でありまして、法律整備をするに当たりましては、反倫理性だけでなく、反社会性の十分な論理的な根拠、また国民世論の支持がなければいけないというふうに考えております。
 民主党案の中でのヒト胚の法律による規制、これを作成するに当たりまして、どのような方法で国民の意見を調査し、それを集約していったのか。また、もしそのことを行われたということであれば、ぜひ客観的な数値を教えていただきたいというふうに思います。
山谷議員 林先生にお答えした部分と重なる部分があるのでございますけれども、それを前提にいたしまして、ヒト胚の取り扱いに関する意見集約の件でございます。
 ES細胞の研究が始まりますと、ヒト胚を壊すというか処理するということが前提になっているわけでございますので、ヒト胚の取り扱いということが非常に懸念されるわけでございます。今は、女性の卵子の採取、使用は当人の生殖補助医療目的以外には行われないことになっておりますけれども、ES細胞樹立研究がスタートいたしますと、たくさんの卵子が必要になってくる。極端な場合には売買などの懸念も出てくるわけでございます。
 こういうようなことから、女性の間では、もちろん、現在余剰胚の取り扱いなどについて日本産科婦人科学会におけるガイドラインがございます。けれども、法律では規制されておりませんので、患者へのインフォームド・コンセントが十分に行われていない、医師の勝手な判断があるのではないか、自分たちの余剰胚はどうなっているのかというような不安を女性たちが非常に訴えております。そのような声は、私どもも取材し、声を聞いたわけでございます。統計的に何人というような形ではございませんけれども、そのような不安、懸念が、政府案には全く視点が欠落しているというような声は、十分聞いたつもりでございます。
松野(博)委員 各種アンケート調査による結果を踏まえてということでありますけれども、この場合、ヒト胚に関して倫理的に尊厳を認めるかどうかという問題と、法律的規制に関する同意を得るかというのは、かなりレベルの違う問題だと思います。
 その中で、法的な位置として、民主党案はヒト胚を生命の萌芽というふうに位置づけられております。ヒト胚をどういうふうに位置づけるかというのは、各国の宗教観、倫理観、歴史、風土等々によって変わってくるわけでありまして、例えば、ドイツにおいてはヒト胚はもう生命であるというような位置づけをされております。生命であるというふうな位置づけであれば、かなり明確な、厳格な規定になると思うんですけれども、生命の萌芽というのを法的な地位、権利としてどういうふうに位置づけられているのか。
 これは、ひいては生命の萌芽というのが、例えば民法上、刑法上に関してどういうような保護を受けるものなのかというところにも発展をしていく議論になると思いますので、このヒト胚の生命の萌芽というのを法的にどう権利を位置づけられるのかについて、ぜひお聞きをしたいと思います。
城島議員 お答えいたします。
 御指摘のようにいろいろ難しい問題があると思いますが、少なくとも今我が国においては、当然といえば当然でありますけれども、ヒト胚について、民法上の権利主体あるいは刑法上の保護の対象として法的な位置づけはされておりません。
 しかしながら、ヒト胚というのは、先ほども申し上げましたけれども、一たん子宮に着床すれば成長してヒトになるということでありますし、ヒトの発生のプロセスというのは受精以降、一連のプログラムとしてずっと進行していき、そして、受精に始まるヒトの発生を生物学的にどの段階でヒトというのかというのは、いろいろ意見があるところでありまして、特別、どこから明確に区分けするか、あるいは区分するかということが、きちっとこの段階でという時期が確定されている状況ではない。
 しかしながら、ヒト胚そのものは、ドイツのは端的でありますけれども、一般的に、世界的にも、先ほど申し上げましたように、少なくともヒト胚というのは、人あるいは人の生命そのものと言えるかどうかというのはありますが、人の生命の萌芽ということはもう間違いない位置づけとしてできるのではないかというふうに考えているわけであります。
 そうしますと、前段申し上げましたように、受精に始まるヒトの発生というものを生物学的に明確に区分けする特別な時期というものは、今のところない、あるいは時期はないという学説もありますが、そういう観点に立ちますと、ヒト胚を人為的に作成し、または利用するということは、人の生命が軽く扱われるということにもつながっていく。また同時に、人の生命の尊重、保護という倫理ないし価値観が脅かされることにもなりますし、さらには、ヒト胚が仮にヒトに成長するとすればそのものの尊厳を脅かすおそれがあるのではないかというふうにとらえているところであります。
松野(博)委員 ただいまの御説明をお伺いしますと、概念としてヒト胚を生命の萌芽と位置づけるということに関しては理解できるのでありますけれども、それを法律をもって規制するというレベルに至るまで国民世論が集約をされていない、また議論としてまとまっていないかのような感じを受けるものであります。
 例えば、民主党案の中でヒト胚というのを一括して規定しておりますけれども、同じヒト胚でありましても、胎内にあるヒト胚、自然交配によって胎内に生じ胎盤をまだ形成しない状況のヒト胚、もしくは人工授精によって胎内に移されまだ胎内で胎盤を形成しない状況のヒト胚と、人工授精によって、いわゆる胎外で試験管の中にあって受精をした状況のヒト胚、これは、それぞれに保護されるべき権利状況というのはかなり違ってくるかと思います。
 胎外におけるヒト胚というのは、独立して単体では生存をし得ないという状況でありますから、例えば、胎内におけるヒト胚と胎外におけるヒト胚、これを一括して同様の生命の萌芽として規定されるのか、またこれは別個に規定されるのか。現状においても胎内におけるヒト胚は堕胎に関する法律や優生保護法等々で保護されているものでありますけれども、この点に関して御説明をいただければというふうに思います。
城島議員 民主党の我々の案では、胎外でのヒト胚の作成、利用の規制のみを基本的に考えておりまして、胎内のヒト胚につきましては、本案の想定外というふうに考えていただいていいのではないかと思っております。
松野(博)委員 それでは、もう明確に理解をいたしました。
 ただ、生命の萌芽というのを法律において規制するに当たりまして、確固たる国民世論の集約がないと、例えば民主党案の中で、ヒト胚の利用に関して、生殖補助医療もしくは生殖補助医療に係る医学研究に関しては認める、もしくはES細胞に関する研究に関しては認めるというふうになっております。尊厳を守るべき生命の萌芽が、この運用に関しては認める、この運用に関しては認めないという、その線引きが非常に難しいことになるかと思います。
 そこまでの議論をある種確立しておきませんと、法律上の規制をかけるということ、私はヒト胚に関して何らかの法体系、法整備をもって規制をするべきだと考えておりますけれども、この時点で、この法案の中においてそこまでヒト胚を含めた包括的な規制をするのは難しいのかなというような考えを持つものであります。
 今の、例えばヒト胚の萌芽の価値と、党提出法案の中の運用上の法的整合性、そこをどういうふうに御理解をされているのかに関して、御説明をいただきたいというふうに思います。
城島議員 お答えいたします。
 繰り返しておりますけれども、ヒト胚そのものというのは、人の生命の萌芽として位置づけている、また位置づけることができるのではないかということの中で、ヒトのほかの細胞とは異なって、したがって、倫理的に尊重されるべきものであるということから、ヒト胚を研究に用いることは可能な限り避けるべきだというふうにとらえているわけであります。
 しかし、先ほども申し上げましたように、ヒト胚は、人の生命そのものというふうに完全に断定することは難しい状況だろうというふうに思っております。また、ヒト胚を用いる研究には、ヒト胚性幹細胞の樹立のように、医療や科学技術の進展に極めて重要な成果を生み出すことが想定されるものも現実に存在しているということも認識しているわけであります。
 したがいまして、我々の民主党案では、ヒト胚が人の生命の萌芽として尊重されるべきものであるとの要請を考慮した上で、余剰胚を、厳格な規制の枠組みのもとで研究に利用することを許容するということにしているわけであります。
松野(博)委員 今の議論をお聞きしても、法的規制をかけるに当たっては、もう少し議論を煮詰める必要があるのかなというような意見を持ちます。
 民主党案に質問をさせていただきたいと思いますが、民主党案は、ヒト胚の使用に関して、生殖補助医療もしくはそれに係る医学研究を除くというふうにされておりますけれども、生殖補助医療というのが一体どこまでのものを言うのか。特に、それに係る医学研究というとかなり広範囲な規定になるというふうに思いますし、結果として、これは生殖補助医療に関する研究だからということで、かなり無秩序に、かえってこのヒト胚の使用現場、利用を混乱させるのではないかという危惧があります。
 この生殖補助医療並びにそれに係る医学研究の範囲というものに関して、どういうようなお考えを持つか、御説明をいただきたいというふうに思います。
山谷議員 生殖補助医療の定義あるいは範囲あるいは混乱というような御質問でございますけれども、生殖補助医療については、「医療法第一条の二第二項に規定する医療提供施設において医業として行われる人の生殖の補助をいう。」と定義があります。この定義は、現に病院等で実際に行われておりまして、一般に生殖補助医療として受け入れられているものをとらえて定義したものでありまして、この定義自体によって生殖補助医療の内容を示しているものではございません。
 生殖補助医療について、どのようなものが許されるのか、あるいはどのような規制がというようなことでございますけれども、この件に関しましては、本当に先生御指摘のように、まだ議論が十分に行われていないと考えております。代理の母とか借り腹などという方法が許されるのか、あるいはまた、提供精子、提供卵子を使って胚をつくること、それをまたさらにほかの人のために使うこと、それはどう考えるかなども含めまして、まだまだ十分な議論が行われておりません。早急に検討を行う必要があると考えております。
 そこで、民主党としましては、この法律で三年以内に検討を行って規制するという形をとっております。
松野(博)委員 御説明のとおり、この分野に関しては法的な定義が確立をされていないということもあると思いますが、民主党案の中で、このヒト胚の扱いに関して規制を設けるということになりますと、例えば、現行の生殖補助医療で使用されるヒト胚、またこれに伴って出る余剰胚の問題、こういったものにも当然のことながら規制をしていく必然性が出てくるというふうに思います。
 その場合において、非常に難しい、まだ議論が集約をされていませんのは、例えば、人工授精に当たってヒト胚を一回につき何個までつくることが認められるのか、余剰胚というものの廃棄がどういった経緯によってなされるのか等々の問題は、まだ確立された議論がないところでありますので、ここについてさらなる議論が必要であろうというふうに思います。
 時間の関係がございますので、政府案に関して御質問させていただきたいと思いますけれども、現在またあるいは今後、この生殖補助医療に対する法整備というものに関して検討が行われているかどうか、この点に関してお聞きをしたいと思います。
真野政府参考人 生殖補助医療のあり方につきましては、今御議論ございますように、国民の間に幅広い御意見がございます。また、医療のみならず、生命倫理それから法律面などの幅広い観点からの検討を行う必要があるというふうに考えておりまして、一昨年の十月に、厚生省の厚生科学審議会先端医療技術評価部会のもとに、医学、看護学、生命倫理学、法学などの専門家から成ります専門委員会を設置いたしまして、特に、第三者の配偶子提供等による生殖補助医療のあり方につきまして御検討いただいております。
 生殖補助医療の是非、対象者はどういう方であるのか、また今後、規制の方法、それから実施する場合の条件整備、そういうところについて御検討いただいておりまして、私どもといたしましては、本年じゅうに同委員会におきます報告書の取りまとめを行っていただきまして、その後、先端医療技術評価部会において御議論をさらにいただく、また厚生科学審議会全体としての意見集約もお願いをしたいというふうに考えております。
松野(博)委員 政府にお伺いをしたいと思いますが、政府案は、ヒト胚の取り扱いに関しては指針による規制ということであるかと思いますけれども、現状のヒト胚研究小委員会の論議と、ヒト胚の取り扱いに関する指針、この方向性に関して御説明をいただきたいというふうに思います。
結城政府参考人 科学技術会議の生命倫理委員会のもとに設けられておりますヒト胚研究小委員会におきまして、人クローン胚などの取り扱いにつきまして、技術的な観点から研究上の有用性の評価を行っております。それから、これらの胚が人クローン個体の産生につながりかねないというおそれがありますので、どのような規制を行うかということについても検討が行われました。
 ことしの三月に取りまとめられましたこの報告書におきましては、人クローン胚等の取り扱いに関する指針の基本的内容となるべき事項が取りまとめられております。政府といたしましては、この報告書を踏まえまして、クローン規制法に基づく指針をこれから定めていくわけでございます。
 少しその具体的な内容を申し上げますと、例えば、個体産生に至らないように適切な取り扱いがなされていることとか、事前に動物実験が十分に行われていてヒト細胞を用いた確認が必要な段階であるなど研究の必要性、妥当性が認められていることとか、胚の特徴に応じた研究期間の制限があることとか、ヒトの細胞を使用する際には提供者のインフォームド・コンセントが適切に取得されていること、ヒトの細胞の提供者のプライバシー保護が適切になされていること、あるいは作成した特定胚の授受によって商業的な利益を得ないことというようなことをこれから規定していく方針でございます。
松野(博)委員 もう時間が参りましたので、最後に、民主党案に質問をさせていただきたいと思います。
 民主党案は、ヒト胚規制から人クローン個体の産生の禁止まで包括的な規制に関しての提案をされておりますけれども、この法案の最も重要視する論点といいますか、端的に言いますと、ヒト胚の保護か、ヒトクローンの産生の禁止か。これはもちろん包括的な議論の中で関連性が強いというお話かと思いますが、現状の緊急性にかんがみて、どこに最も重要な論点を置いておるかに関して最後にお聞きをしたいというふうに思います。
樽床議員 今、二者択一でどちらであるかという御質問でありましたが、私どもは、二者択一という考え方をとっておりません。両方ともに重要であり、両方ともに非常に関連しているものであるという認識に立っておりますことを、ぜひとも御理解いただきたいと思います。
松野(博)委員 以上で質問を終わります。