国土交通行政の基本施策に関する件

平成13年5月16日(水曜日)国土交通委員会

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赤松委員長 次に、松野博一君。
松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。
 大臣の基本施策に関します御発言を承りまして、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、内閣に都市再生本部が設置をされました。この件につきましては、小泉総理も所信表明演説の中で触れられておりましたし、もちろん扇大臣も発言をされております。緊急経済対策の側面もあるものでありますけれども、また一方で、日本といいますのは都市に人口集積が大変進んだ国でありますし、日本の大都市が形成をされました昭和三十年代当時にはなかった状況、例えば日本の国際化の問題もございますし、また意識の上でも、例えば循環型都市社会の問題、環境の問題、こういった問題は、大都市が形成された昭和三十年代の日本にはなかった概念でありますから、そういったものを含めて、この都市再生本部に向けられた国民の期待というものは大きいかと思います。
 国土交通省として、この都市再生本部に対してどのように取り組まれる御決意か、お聞かせをいただきたいと思います。
扇国務大臣 今、松野先生おっしゃいましたように、私は、二十一世紀、この国土交通省の果たす役割は本当に重要なものであると認識しておりますし、また我々は、気を引き締めて、改めて二十一世紀型の国土づくりに頑張っていかなければいけないと思っているところでございます。
 私は、小泉内閣の中で、先ほど申し上げましたように、今月の八日でございましたけれども、都市再生本部を立ち上げました。本部長は内閣総理大臣みずから当たられて、副本部長は官房長官と私が任に当たることになりまして、大臣十五人すべてが委員として入ることになりました。
 そういう意味では、今、松野先生おっしゃいましたように、二十一世紀型の都市がどうあるべきか、そのことが大きな課題になっておりますし、先ほどからお話ございましたように、二十一世紀は、環境の問題あるいは今の物流の問題等々を含めて、民間事業等と国とがどういうふうに一体になっていくのか、これも大きな話であろうと私は思います。
 そういう意味も全部含めまして、今週にもその第一回会合が開かれるということになっておりますので、この都市再生本部というもののあり方で、二十一世紀、先ほど私が申しましたグランドデザインも、もしここで内閣として大々的におやりになるのであれば、一国土交通省のみにかかわらず、私は、政府としてもどうぞおやりくださいというふうに申し上げるつもりでございますので、二十一世紀型の国土交通省のあり方と国土づくりというものは基本に据えていかなければならない。
 特に今、都市の再生で大きな課題になっておりますのは、その都市再生に大きな効果を有する都市交通インフラ等々の整備、あるいは市街地開発プロジェクトを推進するためには、何としても用地の問題の解決が最大の課題になっております。そのために、今国会に土地収用法の改正案を出させていただいていますが、これはもう不可欠の問題でございますので、都市再生本部の遂行のためにも、この土地収用法の改正案をぜひ早期に皆さん方で慎重に御審議を賜るということも、都市再生本部の大きな課題の一つになってくるであろうと私は思っております。
松野(博)委員 総理が本部長に就任をされる都市再生本部でありますから、今大臣おっしゃったところのさまざまな新しい概念の導入も含めて、目に見える成果を上げていただきたいというふうに希望をしております。
 大臣の御発言の中に、前文の部分で、国土交通省ができて四カ月たった中、各省庁の統合再編の効果として、縦割りの行政を排していくということが述べられております。引き続き施策の融合化を図っていくんだという強い御決意だと思いますが、国民生活の、いわば生活益という点、国民の視点ということから見ますと、単に国土交通省の内部だけの縦割りを排していくということではなしに、今回、省庁再編後の各省庁にまたがった視点、それが特に、国土交通省の扱われる地域づくり、都市計画、まちづくりの観点から重要ではないかというふうに考えるものであります。
 例えば、私が住んでおりますのは首都圏の地方都市であります。首都圏の地方都市の実情からいいますと、駅からおりまして、駅前、もう三分も歩くと農業地帯、水田が広がって、サラリーマンの皆さんは、この水田地帯を越えて、バスで十分なり十五分なり離れた丘がニュータウンとして開発をされて、そこに住居を持つというような、ちょっと考えてみると非効率なまちづくりが進んでおります。
 そして、その駅前に広がっている水田というのが農振法がかかった農業振興地域であるということもあって、各役所間のすみ分けというのは明確になされているわけでありますが、これが果たして、生活者の視点、まちづくりの本当の利便性ということを考えて、このままでいいのかなと思うところが多くあるわけであります。
 農振法のことに関して国土交通省の方からコメントを求めようとは思いませんけれども、例えば、一つの事例として、各省庁にまたがった事案に関する調整システム、特に今まちづくりに対してのそういった調整システムをどう構築していくのか、この件についてお聞きをしたいと思います。私個人としては、その役割は、大臣おっしゃられるところの地方分権も進めていかなければならない中、地方自治体にその調整権というものを育てていきたいという希望もございますので、この件に関してお聞きをしたいと思います。
扇国務大臣 今松野先生がおっしゃいましたように、現在の我が国の都市の現状はどうかといいますと、今の日本の都市の現状というのは、長時間の通勤、あるいは道路やオープンスペースが不足しておりますし、慢性的な渋滞、そしてごみ問題等々、私は、今の日本の都市の問題というものは、あらゆるところが国際都市として魅力ある都市にはなっていない。緑が少ないこともそうです。道路幅が狭いこともそうです。
 少なくとも私は、そういう意味において、先ほど先生がおっしゃっていただきました、内閣に都市再生本部をつくったということも、今の日本の国の都市が果たして国際都市にふさわしいかどうか、二十一世紀のそういう中長期の、長距離の通勤、ごみ問題、緑が少ない、道路幅が狭い、慢性渋滞等々をいかに解消していけるかということも、特に私は研究していくべきだと思っております。
 今お話がございましたように、国土交通省としましても、地方公共団体と一緒になって、私が先ほどお答えしましたように、地方と一緒になって円滑な都市づくりというものを今後まとめていかなければならない。また、駅周辺も今度大きな網にかけて、先ほども申しましたように、特定財源も駅前の開発にも使うというようなことで、新たな都市づくりのあるべき姿というものをぜひ考えていく機会にしたいと私は思っております。
 農地のことは担当から。
板倉政府参考人 都市計画に当たりまして、都市的な土地利用と農業的な土地利用の調整のシステムがどうなっているかというお尋ねかと思います。
 私ども、実際のそういった対応につきましては、実務の世界では、市街化区域、市街化調整区域のいわゆる線引きという世界で対応していくわけでございまして、この点につきましては、昨年、都市計画法の改正をいただきまして、都市計画の世界では地方分権を徹底する、その中で地方公共団体がみずからの責任において一体的、総合的なまちづくりを進められるように措置していただいたところでございますが、御指摘の、鉄道駅の周辺の間近にまとまった農用地が存在するというようなテーマが確かにあるわけでございます。
 これにつきましては、私ども、昨年十二月に都市計画運用指針というのを提示いたしました。これは農林水産省と十分調整した指導指針でございますが、駅から割合と近いところにそういった集団的な農用地がある、恐らくそこは、一定の農業投資が行われまして、まだ農業が比較的活発に行われている、農用地として保存しているという実態があろうかと思いますが、要は、市街化区域と調整区域の線引きの線が固定的にならないように、市街化の状況あるいは地域の実情というものをよく見きわめた上で随時見直していくという姿勢もまた同時に必要かと思います。
 そういった面で、適切な対応が行われるよう、公共団体とよく調整をしてまいりたいというふうに考えております。
松野(博)委員 今の問題、農業に従事している皆さんの意識も大分変わってきている部分もございますので、ぜひ適宜的確な変更がとれるような体制、調整システムを構築していただきたいと思います。
 最後の分野でありますけれども、これは、質問というよりもお願い、提言になるものでありますが、大臣の所信の御発言の中にも、防災、安全と環境、交通安全対策の総合的な推進をされるというお言葉がありました。私がずっとテーマにしておりますのが、この中の交通事故の問題であります。
 交通事故といいますと、大抵警察の案件というふうにとられがちでありますけれども、日本の、例えば昨年一年間の交通事故による死亡者というのは一万人であります。九千何人であります。毎年一万人前後のとうとい命が交通事故によって亡くなっている。世界各国で、戦争状況ですとか内戦状況の国もありますけれども、その中で、一万人の方の命が失われる戦争というのは、今、現状、地球において行われていないかと思います。
 そして、例えば交通事故による負傷者の問題を考えますと、昨年一年間で百十五万人でありますから、死傷者合わせて、その加害者、被害者の家族まで入れますと、日本で数百万人の皆さんが肉体的、精神的、金銭的な交通事故の被害に遭っているというような状況であります。
 大変な問題であるにもかかわらず、なかなか政治イシューとして上がってこない。大臣の御発言の中にも、航空の安全の問題、船舶の安全の問題等掲げてありますが、それぞれに重要な問題でありますけれども、実害を考えるならば、まずこの交通事故という問題を政治イシューとして大きく取り上げながら、日本が世界の中でも最も進んだ交通事故対策を持つ、そういうシステムを持つ国になっていかなければいけないというふうに考えております。
 特に、国土交通省の抱えているさまざまな領域の中においては、交通事故の問題は、単に一つの問題としてとらえるのではなく、あらゆる施策を行うに当たって、その施策が交通事故防止に役立つかどうか、その視点を織り込んでいくことが重要かと思いますけれども、まずこの意識に関してのお考えをお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 今松野先生がおっしゃいました安全性に関しては、私は、交通事故のみならず、冒頭に申し上げました、陸海空、あらゆるところでの交通安全が第一であると。安全が第一であるということは、交通のみにかかわらず、国土交通省の幹部も新年に集まって、とにかく国民の生命財産を守り、安心して住んでいただけ、安心して生活してもらえる国土というものが一番基礎であることは御存じのとおりでございまして、特に今先生が御指摘の交通に関しましては、交通事故を削減していくというのにはどういう方法があるか、いろいろ検討しました。
 それは、バイパスをしたり、道路を整備したり、あらゆる都市の骨格となる基幹道路をネットワークで、なるべく情報を開示しようとか、都市内を通過する交通量を排除しようとか、あらゆる方法は考えられますけれども、何よりも、みずからが法律を守って安全運転をし、歩く人はルールを守る、私は、これが原点だろうと思うんですね。このごろの、若い人が信号が赤になっていてもまだ渡るというのは、都市で見られる典型的なものでございますけれども。
 そういうものも含めて、私は、国土交通省としてできることは、幅の広い歩道、あるいは自転車走行空間をつくったり、あるいは交通の安全施設の整備等々、あるいは電線類の地中化もそうでございますけれども、そういう意味での交通事故の起こりにくいまちづくりをしていくというのはもちろん重要なことでございますので、今後とも、国土交通省としては、交通の安全施策を重点的に推進していきたいと思っております。
松野(博)委員 もうおっしゃられるとおりでありますけれども、刑罰の強化ですとか交通安全意識の向上というのはもちろんでありますが、今大臣おっしゃられたとおりの、まちづくり全体の問題、また交通事故を防止するという観点からの、そういったコンセプトでのまちづくり、こういったものが行われていいのではないかなというふうに思います。
 歩いていける範囲の中で生活ができる生活圏確保の問題、路面電車等の域内交通の問題、電柱の地中化、中心市街地の駐車場、パーク・アンド・ライド方式、ぜひひとつ、モデルケースとして、交通事故を防止するという観点を第一のコンセプトに置いたまちづくりを進めていく、そういうことをやってみてはどうかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
大石政府参考人 先生御指摘のとおり、道路交通環境全体が交通安全に大きく寄与するものであると考えてございますが、残念ながら、現在の市街地内の道路は、看板類があふれ返っておりますし、無秩序に自転車が放置されております。また、狭い歩道に電柱が存在するなど、歩きにくく、さらに、人、自転車、車等が錯綜しておりまして、美観はもとより交通安全上も大きな問題だという認識を持ってございます。
 このため、これらに対しまして、電線類の地中化や自転車走行空間の確保、ガードレールの設置、歩道の拡幅などを行ってきておりますが、これらを個別に行うのではなく、この対策を総合的に行うことによりまして、次の世代に残せる安全で快適な町をつくるという観点から、積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
 御承知のとおり、幹線系では自転車と歩行者を分離するという、現在の道路構造のあり方を変更する道路構造令の改正も行わせていただいたところでございまして、新設はもとより既存の道路につきましても、このような考え方で改良を進めていきたいと考えてございます。
 このような取り組みを通じまして、交通安全に大きく寄与するよう努力してまいりたいと考えております。
松野(博)委員 特に、弱者であります高齢者、また子供たちに向けての交通安全対策、予算の振り分けも含めて、切にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。