教育関連三法案の改正に関する件
平成13年6月6日(水曜日)文部科学委員会
| RealPlayer | Windows MediaPlayer |
| 高市委員長 | 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野博一君。 |
| 松野(博)委員 | おはようございます。自由民主党の松野博一でございます。 教育関連の三法案の改正と、今、私の教育問題に関します問題意識から質問させていただきたいと思います。 私は、今回の改正というのは、国民の教育行政に対するフラストレーションにかなりこたえるものではないかなというふうに考えております。不適格教師を教職以外の職場に異動させること、問題児童の出席の停止の件、もちろん明確な基準、そして慎重な運営が必要なことでありますけれども、方向性としては、今国民が教育に対して、教育現場に対して望んでいるニーズに合致をするものではないかというふうに考えております。 これらが円滑に施行されていくためには、今言いましたような案件が審議、決定される場というのは教育委員会でありますから、この教育委員会というのがますます重要な位置を占め、機能的かつ公平に運営をされていくことが重要だというふうに考えております。 今回の改正の中で、教育委員会の活性化についてもありまして、幅広い、各層から委員を求めること、議論を公開する等があります。この二点も大変有意義で重要な改正だというふうに考えますけれども、教育委員会に期待される目的がどんどん高まっている、こういうことを考えますと、運営面からの検討も必要ではないかなというふうに考えております。 そこで、教育委員会の運営に関して質問させていただきたいと思います。 まず、任命された教育委員長、教育委員の権限と責任の問題でありますが、教育委員会は、教育委員が基本方針を示し、教育長を通して全体を監督指揮するというような運営方法でありますけれども、教育行政執行機関として、教育委員会の責任の最終所在はどういうふうなことになっているのか、そのことに関してお伺いをしたいと思います。 |
| 矢野政府参考人 | 教育委員会の最終的な責任はだれが負うのかという御質問でございますけれども、教育委員会は合議制の執行機関でございますために、その最終的な責任は教育委員の合議体でございます教育委員会が負うわけでございます。そういう意味で、一人一人の委員が責任を負う、そういう性格のものではございません。 |
| 松野(博)委員 | 教育委員は、単に答申を上げるとかいうことでなく、教育の行政上の最終責任者であると。大変重要な地位であるということかと思いますけれども、平成九年の例を見ますと、市町村の教育委員会が年平均開かれております回数は十一・六回であります。一月一回開かれない月もあるということでありますけれども、現状の教育委員会の幅広い役割から考えても、果たしてこれでうまく機能しているのかなという疑問がありますし、また、これから、より活性化をされた教育委員会、この活動が望まれるときに、果たして今後もこういった頻度で教育委員会の会議が開かれることがいいんだろうかというような考えもあります。 そして、教育委員会の招集権というのは教育委員長が持っているわけでありますけれども、せっかく幅広い層から委員を求めるということで、委員の問題意識をより反映していったり、委員のアンテナを通して地域の教育問題にスピーディーに対応していくためには、委員からも招集を求めるというような方式もあってもいいのかなというふうに考えるんですけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。 |
| 矢野政府参考人 | 先ほど御指摘がございましたように、教育委員長は、これは委員の互選により選出されまして、教育委員会の会議を主宰し、教育委員会を代表する役割を担っているわけでございます。そしてまた、「教育委員会の会議は、委員長が招集する。」ということになっているわけでございます。 そういう意味では、形式的には会議の招集権者は委員長にあるわけでございますが、先ほど御提言がございましたように、実際の運用、運営としては、委員から会議の御提言があって、それを委員会として踏まえて委員長が招集するというふうな運営も、現実の運営としてはあろうかと思うわけでございます。 |
| 松野(博)委員 | 開催頻度の問題というのはお答えの中になかったようでありますけれども、私、個人的には、教育委員会をより活性化して幅広い意見を反映していくためには、年十一・六回というような状況ではとても対応できないなというふうな意見を持っております。 今、教育委員に求められている役割というのは、教育委員は大所高所から基本方針を作成するということが役割となっております。これは、教育委員が非常勤でありますし、必ずしも教育の専門家ではありませんので、こういった基本方針ということになるのかと思いますけれども、例えば、児童の出席停止に対する審議、不適格教師への対応等は教育委員会の案件でありますし、また、今回の改正、努力目標でありますけれども、委員の構成員に保護者が加えられる、こういったことを考え、地域特性を生かした教育を推進していこう、こういう趣旨にのっとりますと、大所高所から基本方針を定めるという従来の委員に期待される役割というのが変わってくるのではないかなと。もっと積極的な、個々地域性に根差した、具体例にまで突っ込んだ議論というのがこの教育委員の会議の中で行われるべきだというふうに考えております。 また、そのために、現状は、調査研究のスタッフというのは教育委員会の事務局部門が担っているということでありますけれども、スタッフ等の、教育委員をフォローするさらなる充実が必要と考えておりますけれども、この点に関してはいかがお考えでありましょうか。 |
| 矢野政府参考人 | 先ほどお話がございましたように、教育委員会におきましては、教育委員の合議によりまして教育行政の基本方針や施策を決定するのが教育委員会の基本的な役割でございまして、それを受けて教育長が具体的な事務を行う、執行する、そういう役割を担っているわけでございます。 そこで、教育委員会が、ただいまお話がございましたように、児童生徒の出席停止や指導が不適切な教員への対応など、その権限を適切に行使いたしますためには、御指摘のように、調査や研究といったような機能を十分果たすことが必要であるわけでございまして、そのために教育委員会としてこうした調査研究機能の充実を図っていくことがこれから大変大事な事柄になろうかと思うわけでございます。 |
| 松野(博)委員 | 本当に、当初の目的からかんがみて、教育委員会の重要性というのはますます上がっていくわけでありますから、十分な調査研究等のスタッフの充実を図っていただきたいというふうに考えております。 今回の改正の中で、教育委員会の議論というのが公開をされるということになりました。このことも、クローズドになりがちなこういった委員会の内容というのを広く一般の人に知らしめることによって、また外部からも御批判をいただく、御意見をいただくということで、活性化に向けて非常に有意義であるかと思いますけれども、今文部科学省で、そのほかのことで教育委員会の活性化策をどう考えているのか、このことについてお伺いをしたいと思います。 |
| 遠山国務大臣 | 今回の法案では、今お話しのように、教育委員会の会議を原則として公開にするということといたしておりまして、これによりまして、教育委員の合議体としての非常に熱心な御議論が展開されるようになるのではないかということと、情報公開も進むということで、かなりの大きな改善になるのではないかと思っておりますが、同時に、教育行政に関する相談体制の整備を図ろうといたしております。これによりまして、地域住民や保護者の意向を一層的確に反映した施策の展開がなされているものと考えております。 これに加えまして、私どもで今考えておりますのは、一つは、定例会のほかに、臨時会あるいは委員協議会などの方式を活用してほしい、あるいは開催時日を工夫するなどして、例えば夜にでもやっていただくとか、いろいろな住民が、公開になっておりますから、それを見聞することができるようなチャンスを使うとか、日時についても考えてもらうなど、適時適切な会議の開催に努めてほしいということ。 あるいは、会議におきまして、委員の活発な意見交換が行われますように、その場において資料を出すということではなくて、事前に議案についての説明をしたり、必要な資料を配付しておくようなことでありますとか、教育委員に対しまして、今のその地域で起こっている教育問題あるいは施策の状況等につきまして、情報提供をしたりあるいは研修の機会、さらには視察を行っていただく、そのようなことも大事ではないかということを、私どもとしては、今後、各教育委員会の取り組みについて助言をして、教育委員会が本来あるべき形の活発な議論が展開されるように、取り組みを促してまいりたいと思っております。 |
| 松野(博)委員 | ぜひ、さまざまな観点からの活性化に向けての施策を続けていただきたいというふうに思います。 私は、もう一点違う角度から、今日、国民的な関心も非常に高く、また私も個人的に問題意識を持っている問題、中学校の歴史教科書の問題について御質問をさせていただきたいと思いますが、中学校で今使用されている教科書で、いわゆる従軍慰安婦という記述があるのが、歴史教科書で三つ、公民教科書で一つであります。 私は、どうもこの歴史教科書問題というのは、不毛なイデオロギーの対立でありますとか、政治勢力の対立や妥協、こういったものが前面に出て、本当に子供たちの健全な育成に関しての観点で検討がなされているのかなと疑問に思うところがあります。 ある高名な宗教家が、自分の弟子たちに物事を教えるときに三つのことを考えている、三つのことをクリアして初めて教えることにしているということを聞きました。その一つは、自分が教えようとしていることが真実かどうか。二つ目は、そのことを教えることが相手にとって、利益を与える、得なことかどうか。そして三つ目が、今教えるべきかどうか、もっと相手の成長を待って、五年、十年後の方がいいのじゃないか。こういうような三つのことを検討して弟子たちに教えを説くという話がありました。 これと同様の趣旨が、実は政府が出している文書の中にありまして、それは教科書の検定基準の中に種々、書かれている位置はばらばらでありますけれども、総合しますと、この三つと同様の趣旨があります。 私は、真実かどうかという問題に関しては、さまざまなお立場の中で見解があることを承知しております。私個人としては、必ずしも歴史的に立証されたこと、確定されたことではないなという意識はありますけれども、そのことを議論していると趣旨から外れますので、議論を進める仮定として、私としては百歩譲って事実であるというふうにしたところで、本当にそのことを教えることが子供たちにとって益があることなのかどうか。国家の歴史というのは正の歴史、負の歴史、さまざまなことが織りなすものでありますけれども、その中から選択をして子供に教えるべきことなのかどうかというのは、疑問に思うところであります。 それでも、日本が犯したすべてのこと、それも悪いことであっても子供に教えるべきだという考えの方もいらっしゃると思いますが、そこをもう一つ譲って、では、教えるべきだということにしても、それが果たして中学生の段階で生徒たちに教えるかどうかということに関しては、これは多くの方が否定的な考えをお持ちではないかなというふうに考えております。 文部省の教科書検定基準に対する見解で、たとえ事実であったとしても、当該年齢にかんがみて高度過ぎる内容というのは除外する、教科書としては適さないという見解を示しているということでありますけれども、当時の国際知識、社会状況、また当時における倫理問題、また売春制度の問題、こういったこと、従軍慰安婦の問題を考えるに当たっては、高度な知識と判断力、そして冷静に物事を分析していく人間的な成熟度、こういったものが必要であると私は思います。 文部科学省が検定に際し、従軍慰安婦問題が中学生にとって高度な問題ではない、そうする論拠についてお聞かせをいただきたいと思います。 |
| 矢野政府参考人 | まず一点、歴史教科書のあり方について御説明申し上げたいわけでございますが、歴史教科書におきましては、学習指導要領の範囲内で具体的にどのような歴史的事象を記述するか、これは基本的には民間の執筆者の判断にゆだねられているものでございます。 そこで、御指摘の慰安婦につきましても、これまで中学校の歴史教科書におきまして、それを記述した教科書が民間の教科書会社から申請されてきたところでございます。 特に、中学校の歴史教科書に慰安婦を記述することにつきましては、先ほどの御指摘のような御議論もあることは私どもは承知しているわけでございますけれども、この点につきましては、教科用図書検定調査審議会におきまして、中学校の社会科の学習指導要領には、さきの大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させるというふうにされていることがあるわけでございます。 このことを踏まえまして、中学生につきましては、いまだ心身の発達段階にあるとはいえ、さきの大戦の悲惨な歴史的事象の一つとしてこれを理解することは可能である、こういうこと等を教科用図書検定調査審議会におきまして総合的に勘案し認めることとされたわけでございまして、私どもとしては、それを受けて検定において許容をいたしたところでございます。 |
| 松野(博)委員 | 私の質問意図と答えが食い違っているような気もいたしますけれども、頭脳明晰な文部科学省の方をしても非常にあいまいな答えしかできないというところに、この問題の根深さがあるのではないかというふうに思います。 もう時間でありますから、最後に、私は、過去の亡霊のような、これはいわゆる右も左も両勢力でありますが、こういった教条主義的な勢力、この対立に子供たちの健全な育成を巻き込まないでいただきたい、そのことを強くお願い申し上げて、質問を終わります。 どうもありがとうございました。 |