マンションの建替えの円滑化等に関する法律案
平成14年4月10日(水曜日)国土交通委員会
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| 久保委員長 | 松野博一君。 |
| 松野(博)委員 | 自由民主党の松野博一でございます。 マンション建てかえの円滑化に対して質問させていただきたいと思いますが、法案の性格上、通告をした質問がほとんど今までの答弁の中で丁寧にお答えをいただいたものですから、若干通告外の質問が入ってくるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。 まず、マンションの建てかえのニーズの問題でありますけれども、三十年から四十年での建てかえの実例が多いということであります。 先日の大臣の答弁の中では、一つは耐久性、安全性の問題と、もう一つはライフスタイルの変化によるものという、二つの側面が考えられるというお答えがあったわけでありますけれども、現状において、建てかえられるマンションの建てかえ理由、これが主に安全性、耐久性によるものであるのか、また生活者のライフスタイルの変化、生活のクオリティーの変化で現状のマンションでは満足できなくなった、不都合になった、そういうような理由から建てかえられるようになったか、どういうふうに把握をされているか、質問させていただきたいと思います。 |
| 三沢政府参考人 | これについては、一つのアンケート調査がございますけれども、建てかえに関心を持ったきっかけは何ですかというアンケート調査をしましたところ、この中で一番大きいのは、今後の修繕に要する費用を考えると今から建てかえを検討することが望ましいと考えたからという答えが四二%ぐらいございました。ただ、それ以外に、かなり高い比率でお答えいただいているのは、例えば、地震や火災等に対する安全性への不安からというものとか、それから建物の居住性に対する不満からというようなものがございます。それから、それよりちょっと比率は落ちますけれども、大規模修繕が必要となっているけれども多額の費用が必要であったからというような答えも相当数見られるというようなことでございます。 |
| 松野(博)委員 | その質問をいたしましたのは、コンクリート住宅の物質としての耐久性から考えると、どうも日本のマンションというのは建てかえの周期が短過ぎるというようなことが言えるかと思うんです。もしもライフスタイルの変化や生活、世代が上昇することによっての生活の質の変化によって建てかえが望まれているということであれば、これをもっと若い世代にうまく流通をさせると、先ほど来、建築廃材の問題ですとか資源の有効活用の問題が指摘をされておりましたけれども、まだまだ建てかえという手法によらなくても十分対応できる部分もあるかと思います。そのためには、中古市場をより確立していくこと、税制等の補助等が考えられると思いますが、一つの課題として今後取り組んでいただきたいというふうに考えております。 本法案の一つの大きな柱といいますか目玉が、建てかえを行う団体の法的地位が確立をされたということだと思います。区分所有者が集まって法人格を有するマンション建替組合をつくる。 このマンション建替組合の法的な責任の範囲。例えば一回マンションを取り壊して新たに建設をされる途中、マンションという物体は消滅をしてしまうわけであります。そういうことがあってはならないわけでありますけれども、例えばマンションを取り壊したが建たなかった場合、こういうことがないように十分な計画案を練り、また公的セクションというのが関与するということだと思いますが、例えば、マンションの建てかえがうまくいかなかったような場合の責任問題も含めて、この法人格を有するマンション建替組合の責任の範囲について、質問をさせていただきたいと思います。 |
| 三沢政府参考人 | マンション建替組合というのは、ある意味では一種の協同組合的な性格のものでございますが、実際にこういう組合の事業が破綻した場合、先生がおっしゃるとおり、問題になりますのは、組合と組合員との関係、特に組合員の責任というのは一体どうなんだろうということが問題になるわけでございます。 これは、建替組合というのは、当然のことでございますが、組合員とは別個の法人格を有するものでございますので、法律的には、仮に組合の事業が破綻しても、組合の債務について組合員個人が直接責任を負うということではなくて、いわゆる有限責任であるというふうに解しております。ただ、例えば、清算金債務のような形で組合に対する債務が既に具体的に存在している場合には、その範囲で組合員は責任を負うという形になろうかと思います。 |
| 松野(博)委員 | 本法案のもう一つの柱が、権利変換手法を確立するというところにあるかと思います。従前のマンションの区分所有権や抵当権等、さまざまな債権というものが新しく建てられるマンションに移行されるわけでありますけれども、その中で、一番立場が弱い人の権利というのをこの権利変換手法の中においてどう守っていくか、このことも大事な視点だと思います。 例えば、借家人の権利に対しては、この権利変換手法においてはどういうふうに保護されるんでしょうか。 |
| 三沢政府参考人 | マンションの建てかえ事業におきまして、借家権は原則的に権利変換の対象となる再建マンションに移行するということでございますので、借家人はその再建マンションで居住等を継続することができるということになります。この場合、その権利変換計画を定めるに際しましては、借家人の同意を得なければならないということになっております。 それから、借家人が再建マンションにおける借家権の取得を希望しない場合がございますけれども、その場合は、施行者に申し出ることによりまして、借家権にかえて補償金を受け取ることもできるということになっております。 先ほどから申し上げておりますけれども、こういうような申し出を行った場合も含めまして、借家人がマンションから転出することになった場合に関しましては、国土交通大臣が定める基本方針に従いまして、公共賃貸住宅への優先入居など、居住安定の確保を図るための所要の措置を講ずるということにしているところでございます。 |
| 松野(博)委員 | この観点も既に出た質問の中にありましたけれども、建てかえに参加をしないでマンションから出ざるを得ない人、その人たちから、建てかえるマンションの区分所有権を時価により買い取るということになっております。 日本でよく、利口な家の買い方というのが言われるんですが、これは、中古住宅を買いかえていくのが日本では最も効率的な家の買い方だというふうに言われます。というのは、日本は上物に対する評価というのが著しく低い、建物の評価が低いわけであります。特にマンションに対して、年を追って古くなってきたマンションに対する評価、時価というのが極端に低くなる傾向があります。このことが、今回のマンション建替え法案に関しては阻害要因になると思いますし、都市部の高層化を阻んでいるし、また一部の、まだ弱くなったとはいえ、日本人の土地信仰、一戸建て信仰を助長している傾向があるかと思うんです。 この上物、特にマンションに関する時価評価の問題、このことに関してどういうような整理をされているのか、見解をお聞きしたいと思います。 |
| 三沢政府参考人 | 現状におきまして、なかなか日本では住宅の上物の価値に着目した評価というのが今まではなされてこなかったというのは事実かと思います。やはり、どちらかといいますと、土地に着目してその価値というのを語ってきたという現状がございます。 ただ、これからの住宅を考えますと、先生御指摘のとおり、やはり長もちするものをきちっとつくって、そのことが中古流通市場の中で循環して、それがまたさらに全体のリサイクル問題等に対しても適切な対応となっていく。全体としてこう循環していくような構造をつくっていくというのは非常に大事でございます。 このためには、やはり幾つかポイントがございまして、まず、日本は非常に上物の減価が激しいと言われていますが、それは、一つは住宅の耐久性の問題があったかと思います。ですから、まず住宅の耐久性を、つくるときからきちっと長もちするようなつくり方をしていく。そのための、例えば住宅金融公庫融資等において、そういうことをきちっと基準にしていくというようなことをやっていく必要があるかと思います。 それからもう一つは、中古市場でなかなか流通しない、しにくい原因の一つとして、消費者側が、このマンションというのは本当に大丈夫なんだろうかと、それに関する十分な情報が必ずしも得られないというところがございます。そうしますと、やはりそれについて、この中古マンションについては例えば過去どのくらいきちっとした修繕がなされているかとか、そういうことについてはデータをきちっと蓄積して、消費者にわかるような体制をつくっていく、そのことが必要だろうと思います。 それとあわせて、そういうことがきちっと評価できるような時価の評価の手法、これを確立していくということが必要でございまして、こういったことを通じまして、やはり先生がおっしゃいます、中古住宅の時価というものがきちっと市場でそれなりに評価されていくというような仕組みをつくっていく、これにこれからも努力していきたいというふうに考えております。 |
| 松野(博)委員 | 今のお話にありましたとおり、特に日本で中古マンションの価額が低い大きな原因が、一つは、居住できる年限が短い、次の世代、その次の世代に引き継いでいくことができないということと、マンションが老朽化した場合になかなか今までの日本の法律では建てかえることが難しかったということが、マンションの中古市場での流通性を落とし、マンションの時価の評価を落とすという大きな原因になってきたかと思います。これは、この法案、鶏が先か卵が先かということでありますけれども、ぜひ、この法案によって建てかえを円滑に進めることによって、マンションの区分所有権の債権としての権利というのをしっかりと確立をしていかないといけない、そういうふうに思うものであります。 この建替え円滑化法案のもう一つの視点というのが、防災や居住環境面で問題になるというふうに考えた場合に建てかえの勧告を地方公共団体ができるという点にあるかと思います。 これは、具体的に、例えば防災面、安全面での危険性というのは外観や建築された年数等で判断がされるものと思いますけれども、居住環境等を含めて、そういったものを地方公共団体がどういった具体的な手法によって判断をしていくのか。また、恣意的な判断がされないように明確なわかりやすい基準をつくることも必要ではないかと思いますけれども、この具体的な勧告までの手順、そしてだれを対象にこの勧告が行われるのか等も含めて、この問題に関して整理をしていただきたいと思うんですが。 |
| 三沢政府参考人 | 建てかえ勧告の問題でございますが、まず、建てかえ勧告をする場合の基準ということでございます。これにつきましては、国土交通省令によりまして、構造の安全性とか設備の老朽度等の項目について基準を整備していくという考え方でございます。 これの一つの例として、現在、不良住宅密集地区を買収方式で整備する、いわゆる住宅地区改良事業というのがございますが、そこで不良住宅の判定基準というのがございます。そういうものも一つ参考にしながら、これから国土交通省令で基準を定めていくという考え方でございます。 具体的に申し上げますと、例えば構造の安全性でいいますと、柱とか壁のひび割れ、変形等の状況とか、設備の老朽度については、給排水設備とか電気設備がどのくらい老朽化しているか、老朽化した度を判定する、そういうような具体的な基準を定めるようにしております。 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、恣意的な勧告がなされるということでは非常に問題でございますので、やはりこの制度の趣旨にのっとってきちっと運用されるように、老朽化マンションの実態を踏まえまして、わかりやすく、かつ客観的な基準を策定するという考え方で臨んでおります。 それからもう一つ、この法律上、市町村長が勧告を行うということになっておりますけれども、勧告に当たりましては都道府県知事に協議しなければならないということになっておりまして、そういう意味では、例えば隣の町とで運用がばらばらだ、そういうことのないように、広域的な観点からきちっと適正な統一的な運用がなされるというようなことを確保していきたいというふうに考えております。 それから、だれに対してということは、これは要するに当該マンションの居住者の方々に対して勧告をするということでございます。 |
| 松野(博)委員 | 最後の質問にさせていただきたいと思いますが。 今までの議論の中でも、今、昭和三十年代、四十年代、日本の高度成長期に建てられたマンションが建てかえ期に入っておる。その当時の日本の経済力であるとか安全基準の問題、また日本人の生活の質に対する要求点の問題等を考えると、今回マンションの建てかえという事態になっていることはいたし方ない部分があると思いますが、今後これが、また三十年後にもう一回建てかえ、また三十年で建てかえということになりますと、資源の有効活用がなされていない、建築廃材等の問題もあるということになりますから、これはもう既にお答えが出ていますので、今後のマンションの建築に関する指導に関しては、長期に使用できる耐久性というのを十分考慮していただきたいと思います。 そして、この質問はこの法案とは若干離れるんですが、都市の高層化ということに関して、例えば日本の中心街の夜間人口というのはニューヨーク等に比べると極端に低い人口になっておりますし、東京と同じぐらいの人口密度のヨーロッパ都市と考えると雑然としている。やはり、都市に人を呼び戻すための高層化というのも必要だと思います。 昔は、仕事を引退して老後は田舎で、広々としたところでゆっくりというような風潮であったんですが、今、老後は都会で、老後はマンションでという傾向が広がっております。老後こそ、医療機関が備わり、衣食住、いろいろな面で満足度が高い、そういった都会で暮らしたい、かぎ一つで生活できるマンションで暮らしたいということがあって、若いうちは田舎で暮らしても老後になってきたら東京に戻ってマンション暮らしだと。 僕自身もそういうふうに思うところがあるんですが、そういった面で、今後の都市の住宅の高層化に関して最後に御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。 |
| 三沢政府参考人 | 今先生おっしゃいましたとおり、やはり都心居住に対するニーズ、高齢者の方もそうでございますし、それから働いている世代等も、やはり職住近接ということに対するニーズが非常にこのごろ高まっているというのが現状でございます。 これに対応していくためには、地域の状況によって高度利用可能なところについては高度利用を図りながら、例えば高層マンションというようなものを含めて、そういう事業の展開を図っていくということが非常にこれから大事になっていくわけでございます。 ただ、一方、これも先生お話の中にございましたけれども、非常に老朽化したマンションというのは、逆に、ほっておくとどんどん空き家化が進み、空洞化していってしまうというところがございます。そうしますと、今回の法案の趣旨でもございますけれども、そういうことを避けるためにも、やはり一定の、客観的な、ある程度、条件からもう建てかえた方がいいというときには円滑に建てかえできるような法制度を整備するということが、ある意味ではそういう空洞化を防ぎ都市再生というものに役に立っていくということかと思いますので、そういう観点からも、この法案につきましていろいろな施行努力をしていきたいというふうに考えております。 |
| 松野(博)委員 | 終わります。 |