マンションの建替えの円滑化等に関する法律案
平成14年4月16日(火曜日)国土交通委員会
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| 久保委員長 | これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野博一君。 |
| 松野(博)委員 | 自由民主党の松野博一でございます。参考人の皆さん、御苦労さまでございます。 皆さんのお話をお伺いして、本法案に対します理解が進んだわけでありますが、それぞれの方のお話の中にありましたとおり、このマンション建替えの円滑化に関する法律案といいますのは、区分所有法における建てかえ決議の成立が前提となるということはもちろんでありますけれども、事柄の性質上、質問が区分所有法の領域まで入ることをまずお許しをいただきたいと思います。 十五分間の時間の中で、それぞれ三人の参考人の皆さんに質問をさせていただきたいと思います。 まず、穐山参考人に質問させていただきたいと思いますが、穐山参考人が会長をお務めになっておられます全国マンション管理組合連合会、この会が、法務大臣に対して、区分所有法の改正に関する要望を出されております。その中で、売り渡し請求権の行使の前提として、当該区分所有者が、それまでの居住条件と同程度の居住性、このことが保障されることを売り渡し請求権行使の前提というふうにされておりますけれども、今回の本法案によって、転出された方々に関するさまざまな補助、援助の策が提示をされておりますが、参考人からごらんになって、本法案のそういった施策というのをどう評価されているか、お話しをいただきたいと思います。 |
| 穐山参考人 | ただいまの御質問でございますが、私ども、五分の四という特別決議で建てかえが進むということにつきまして、ある面では危惧を持っているわけでございます。残りの五分の一の方々をどうするかという問題でございます。したがいまして、基本的に、こういう方々についての将来の生活、そういったものまでやはり考慮しなければいけないものではなかろうかというふうに思っておりますので、参加できない方についても、できるだけ将来生活が保障できるような形で建てかえが進められるということになることがやはり必要じゃないか。もしこれがきちんとしていれば、建てかえに反対じゃなくて賛成に回っていく可能性もあるんじゃなかろうか。 賛成者多数で実際に建てかえに入りますといったときに、建てかえには反対したけれども、後々には建てかえに参加する、こういうようなこともあり得ることでございますので、この辺のところを、やはり私どもは、五分の四でいいということじゃなくて、できるだけ一〇〇%に近い賛成を得て建てかえができるようになるのがやはり理想ではなかろうかな、かように思っております。 |
| 松野(博)委員 | ありがとうございました。 続きまして、戎参考人に質問をさせていただきたいと思いますが、先ほどお話の中で、転出をされる方に関しては時価による買い取りがなされるので、必ずしも少数者に対する保護がなされていないという批判は当たらないというお話がありました。これは、財産権上のことにおいては整合性がとれたお話だというふうに思いますが、時価ということに関しては、今問題がさまざまな方面から指摘をされております。 例えば、解体を前提としたマンションの時価というのはどういうふうに算出をされるんであろうかという問題。また、現実問題として、建てかえ決議がされるということは、安全性の問題、構造上の問題、もしくは、お住まいになっている皆さんの生活の質を維持するに当たって問題が生じたということで建てかえということになるわけでありますから、そういった状況のマンションにおける時価というのは、日本における上物の評価の低さも相まって、その後の生活を保障できるほどの価格にはならないであろう。 ですから、転出される方の財産権という見方では整合性がとれても、従前の生活権を保護する、保障していくということにおいては、時価による買い取りということだけでは少数者保護が完遂されないんじゃないかという観点があるかと思いますけれども、その点について御所見をお伺いしたいと思います。 |
| 戎参考人 | 御指摘のとおりではないかというふうに思います。 まず、時価に関しては、実は今現在判例も分かれておりまして、最高裁でこの区分所有法上の時価というのをどのように考えるのかというような結論は今出ておりません。現在上告審にかかっていますので、間もなく出るかなとは思いますけれども、それまでは時価が何なのかということすら実は争いがございまして、そのような中で、交換価値的な面で、時価だけが払われるから少数者の保護になるというのは、確かに問題のあるところでございます。 そのことは私もそのとおり考えますけれども、区分所有法が前提としている少数者保護は、あくまで時価を対価として支払うという交換価値的な側面だけでしたけれども、本法律案では、転出者に対しても居住の安定を図る、そういう計画を立てて、かつその計画に基づいて努力義務ということも定められておりますから、この法律案によって、さらに御指摘の点はプラスされて少数者保護には資しているものというふうに考えております。 確かに御指摘のとおり、所有権を自分の意思に反して奪われる少数者の立場から見ますと、お金だけをもらってもしようがないわけで、そこに住めていたという利益そのものを何とかしてほしいというのが心情でしょうから、そのこと自体はよくわかります。ただ、建てかえということになって、そこから転出ということになれば、全く同じ環境には今後暮らせないわけですから、できるだけ時価相当、それから、先ほどの居住の安定という意味でも、引き続き安定した居住生活が送れるようにという安定計画の方で、そのあたりは今後は対処していかざるを得ないのではないかなというふうに思います。 以上でございます。 |
| 松野(博)委員 | ありがとうございました。 続きまして、山野目参考人にお話をお伺いしたいと思いますが、今回の法案の一つの大きな柱というのが、従前非常に難しかった権利変換の手法というのが法的に担保される、確立をされるということであるかと思いますが、この従前の権利の第一は、区分所有権であり、借家人の権利でありということだと思いますけれども、もう一つ抵当権の問題があるかと思います。 この抵当権の場合は、まず抵当権者が建てかえの賛成決議には参加できないということでありまして、参加できないにもかかわらず、自分が一たん持っていた抵当権の建物自体が消滅をしてしまうという事態が起こるわけであります。もちろんこの抵当権の権利変換手法というのも本法案の中に盛り込まれているわけでありますが、抵当権者の保護に関してこの法案がどう機能するべきであるか、参考人の御意見を聞かせていただきたいと思います。 |
| 山野目参考人 | お答え申し上げます。 御指摘のとおり、区分所有権を目的とする抵当権が設定されていた場合には、建てかえ事業の遂行に関してさまざまな問題が生起いたします。ただいま御指摘のとおり、抵当権者から見てもそれは困った事態でありますし、片や、売り渡し請求をして抵当権の対象となっている住戸を取得する建てかえ事業を遂行する側にとっても、抵当権の負担ということが、建てかえ事業の遂行にとって障害となる部分が大きゅうございました。これらの問題は、神戸での震災における被災マンションの建てかえの際に極めて大きな問題として指摘されたところでございます。 今般の法律案が、基本的には権利変換の枠組みの中で、先ほどの意見陳述でも申し上げましたように、担保権の移行の制度を盛り込んでいるということで、この問題に対して対処しようとしていることを、私は適切な方向ではないかというふうに評価するものでございます。今般入りましたこの権利変換及びその中での担保権の移行の仕組みは、従前の市街地再開発事業においても用いられた手法であり、既存法制上安定的に用いられている手法であって、その運用において注意していくべき部分はあろうかと思いますけれども、その制度化に期待してよいのではないかというふうに考えます。 一点申し添えますと、抵当権の対象となっている住戸を取得する建てかえ事業遂行の側は、現行の民法が定めております、ちょっと難しい漢字を書きますが、滌除という制度がございまして、この制度によって抵当権を除去するということが神戸の震災の際には検討されました。ただ、必ずしも整備された制度ではございませんで、また加えて申し上げますと、現在、法制審議会の担保・執行法制部会においては、このような滌除の制度の存続、及び存続させる場合のその見直しに関して審議が鋭意進められているところでございます。 まとめますと、今般の権利変換の仕組みで抵当権の問題に対処することで基本的には極めて適切であるものと思料いたしますが、あわせて、申し上げましたような並行して進んでいる幾つかの立法上の動きをも見据えながら、この問題が適切に解決されていくことを切望するものでございます。 以上でございます。 |
| 松野(博)委員 | ありがとうございました。以上で質問を終わります。 |