住宅金融公庫法・住宅融資保険法改正案
平成15年4月15日(火曜日) 国土交通委員会
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| 河合委員長 | 松野博一君。 |
| 松野(博)委員 | 自由民主党の松野博一でございます。 引き続き、住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。 先ほど来の議論にありましたとおり、住宅金融公庫が、戦後の国民の住宅をつくるに当たって大変有効な施策を今までつくってきたということは、皆さんが認めるところであります。 一般国民の皆さんの不安に関しては、先ほど大臣の方から、この改正に関して不安を持っている、そういう声が寄せられているという声があったわけであります。 私事で恐縮でありますが、私も四十代に突入をいたしまして、今まで、学校を出てから、政治活動と日々の生活に追われておりましたので、いまだに家内と子供と借家暮らしでございます。一般的な日本人の願望と同じで、何とか持ち家を持ちたいなという思いはありますけれども、先ほど、これから民間の金融機関に移った場合に、職業差別等々含めて厳しい審査があるのではないかというような不安もありますよというお話がありましたが、恐らく、民間金融機関にとりましては一番貸したくない職業についているものでありますから、一般の皆さんの今回の改正に関する不安というのは、自分自身のものとして共有ができるわけであります。 もちろん、特殊法人等の整理合理化計画にのっとって、民間の力を利用した活力のある日本をつくっていくということは大賛成でありますけれども、一方で、戦後、住宅金融公庫が果たしてきた役割というのをしっかりと担保する改革でなくてはならないというふうに思うわけであります。このようなことを前提に質問をさせていただきたいというふうに考えております。 まず、今回の法律改正の内容は、住宅金融公庫が新たに証券化支援業務を導入するということでありますけれども、これは技術論的に言えば、住宅ローンの証券化支援というのは民間の金融機関でも可能なことであるかと思います。その中において、住宅ローンの証券化支援を、公的な機関である住宅金融公庫が取り組むということの意味を質問させていただきたいと思います。 |
| 中馬副大臣 | 松野委員御指摘になりましたように、時代が大きく変わってきております。昭和二十五年に公庫は創設されましたが、それからもう半世紀たっているわけでございます。 戦後、その当時は、個人はもちろん、無一文といいましょうか、特に都市に集まってくる労働者は住宅もありませんでした。建てようにも資金も不足しておった。一方、金融機関は生産重視でございましたから、融資はほとんど企業融資で、個人に融資してもらうことはほとんど不可能でもありました。そういうときに、政府の役割としてこの公庫を立てまして、ただ公営住宅だけではなくて、御自分で住宅を建てたいという方にいろいろな施策をしてきたこと、これが一つの公庫の役割でもありました。 しかし、現在では、ほとんど戸数としては行き渡っております。また、個人資産もかなり豊かになってまいりました。銀行も、これまでの生産金融だけではなくて、消費者金融の方にかなり目が向いてきたことは御承知のとおりでございます。 もう一つは、小泉内閣の、民でできることは民にやらせたらいいではないかということの施策の中から、公庫をひとつ大きく改編して、一般の住宅金融は民間に任せて、公庫は少し下がるべきだという施策でもございます。 そうする中で、今御指摘の、では全部民間に任せてはどうなんだという話でございますが、しかし、民間は短期の資金を集めて、そして短期的に貸すことが従来でございましたから、三十五年もの長期固定の金利ということは非常に不安で、審査も厳しくなるでしょうし、また、そういう意味では低い金利ではなかなか貸してもらえない、そうすることをこの公庫が独立行政法人としてその役割を担っていく。それは、今言いましたように、民間が貸したところの債権をこちらが買い取ってそれを市場に出して、これは独立行政法人としての公庫がちゃんと担保するわけでございますし、これまでのノウハウもありますし、また、そうしたデータもございます。こうした大きな資金量でもってそうした信用力をつけて、一般の方々からの融資をお願いし、そして、それでもって民間の方への資金供給をする、こういうシステムになるわけでございまして、これが両々相まって、本当に、委員の御指摘のありましたような不安をなくした形で従来どおりの融資が可能となるんじゃないか、このように認識いたしております。 |
| 松野(博)委員 | 今回導入をされます証券化支援業務というのは二つのタイプがあるわけでありますけれども、民間金融機関が貸し出した住宅ローンというのを金融公庫が買い取るいわゆる買い取り型というものと、民間金融機関が証券化をしたものに関して公庫が、発行した債券の元利保証をする保証型というものでありますけれども、今回の法律改正によってこの二つのタイプの策を導入する意義についてお伺いをしたいと思います。 |
| 高木大臣政務官 | 買い取り型と保証型の二つのタイプを導入する意義についてのお尋ねでございますけれども、まず、平成十五年度から買い取り型を先行して開始して、保証型の方は平成十六年度以降に開始する予定としております。 その上で、まず、長期固定金利の住宅ローンの証券化が本格的に行われているアメリカにおきまして、政府支援機関であるファニーメイやフレディーマックが民間金融機関から住宅ローン債権買い取り等を行って証券発行を行う、いわゆる買い取り型に類似の手法と、政府機関である連邦住宅局及びジニーメイが保険、保証を行うことによって民間金融機関が証券発行を行う保証型の類似手法がございます。アメリカにおいて、証券化市場においてもそれぞれ一般的に行われているものと承知しておりますけれども、我が国の証券化市場におきましては、その発達に従って、民間金融機関がそれぞれのニーズに応じて、買い取り型または保証型を選択するものと考えております。 例えば、証券化をみずから行うノウハウを有するとともに、全国規模の大規模な住宅ローン債権プールをみずから組成できるような大手の金融機関は保証型を活用して証券化を行っていくであろう。また、中小金融機関など自社住宅ローン債権では規模が小さい、あるいは地域的偏りがある場合や、米国では住宅ローン提供の重要な担い手となっているモーゲージバンカーのようなノンバンクなどは買い取り型を活用するといったことが考えられると思います。 いずれにいたしましても、長期固定金利の住宅ローンを民間金融機関が円滑に提供できるようにするために可能な限り工夫を行うとの観点から、この二つの種類の証券化手法を導入することとしたところでございます。 |
| 松野(博)委員 | 今回の証券化支援業務の必要性といいますのは、従来の住宅金融公庫の魅力というのは、長期固定金利で、なおかつ低金利であるという住宅ローンを提供してきたということでありますけれども、そのことを民間活力を利用して行うということであろうかと思います。 すなわち、公庫の公的機関としての信用力を利用いたしまして、低利回りで資金を調達して、そして結果として一般利用者に低利の融資を実現するということでありますけれども、そのためには民間金融機関への委託の手数料を低く設定する必要があるかと思いますが、そのためにどういうような施策をお考えでしょうか、質問させていただきたいと思います。 |
| 松野政府参考人 | お答えいたします。 公的機関の信用力を背景にして、相対的に低利回りで資金調達ができるということが今回の証券化支援事業の仕組みでございますが、それでも、できるだけ低利の融資を実現するという必要があろうかと思います。 今回の仕組みの中では、最初に資金を貸します民間金融機関みずからが、当然、その貸し付けを行うと同時に元利金の回収を行う、これはサービサーというふうに言っておりますが、サービサーも担うということになるわけでございます。ここの手数料につきましては、民間金融機関の判断で定められるということになります。 ここの、いわゆる最初の貸し付けをして、なおかつ回収業務を実施するという者につきましては、金融機関として、ノンバンクも含めたさまざまな金融機関を想定しております。ここでさまざまな方々が参入してきて、市場における競争が行われるということを考えております。 したがいまして、そうした競争を通じまして、元利金のサービサー手数料、回収手数料が低減されまして、最終的に消費者にとって低利な住宅ローンが供給されるということを私どもとして期待しているわけでございます。 |
| 松野(博)委員 | 住宅政策を取り巻く環境というのも大きな変化がございます。少子高齢化ということもございますし、右肩上がりの経済というのもそろそろ終えんを迎えてきているのかなという思いもあります。そして、先ほど来議論の中にたびたび登場するような環境問題という観点からもこの住宅政策を考えていかなければなりません。 特に、これからの住生活のあり方を考える上で、ライフスタイルに合わせた住まい方を重視するということが大事になってくると思いますけれども、そのことにおいては、中古住宅の活用、リフォームの促進が今後は重要な課題になってくるかと思います。 マンションの建てかえ推進のときも質問させていただきましたけれども、日本の上物に対する評価というのは欧米と比べても著しく低いわけでありますし、中古住宅市場というものの不整備もございます。このことの大きな原因の一つとしては、住宅に対する金融上の問題があったのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、現在の公庫における中古住宅向けの融資、またリフォームローンの制度というのはどういうふうな内容になっているかを質問させていただきたいと思います。 |
| 吉井政府参考人 | お答え申し上げます。 ただいまの現状での住宅金融公庫の中古住宅あるいはリフォームローンの内容という御質問でございますが、私どもも、先生御指摘のとおり、今後の社会におきまして、良質な住宅ストックの形成だけでなく、適切な維持管理でありますとか、円滑な流通を一体的に実現していくことが極めて重要な課題であると存じております。 そのため、住宅金融公庫におきましても、適切な維持管理や円滑な流通を支援する中古住宅向け融資やリフォームローンの充実を図ってまいったところでございます。 特に中古住宅につきましては、中古というようなイメージから、住宅の再生という意味を込めまして、平成十四年度からリユース住宅というふうなネーミングをしまして積極的に対応しているところでございます。 その融資条件につきましては、中古住宅向け、いわゆるリユース住宅向けの場合につきましては、金利につきましては、一般の中古住宅は現在二・三%でございますが、バリアフリー等の維持管理が適切なものにつきましては、最優遇金利であります基準金利二・二%を適用しておりますし、融資額につきましても、維持管理が適切なものにつきましては新築並みの融資額としております。償還期間も、維持管理が適切な中古住宅につきましては、一般のものが二十五年であるのに対して、三十五年というふうにしております。 リフォームにつきましても、一般のリフォームは二・三%にしておりますが、バリアフリー等のリフォームを行う場合には、最優遇の二・二%としております。融資額につきましても、バリアフリーリフォーム、あるいは最近問題になっておりますシックハウス対策リフォーム等を行う場合には一千万円までというふうなことをしておるところでございます。 |
| 松野(博)委員 | 先ほど来、資源の有効活用や、産業廃棄物のほとんどが建築廃材だという観点からも、住宅を良質で長もちさせるものをつくり、なおかつリフォームや中古市場の整備で有効的に活用していくことが重要だという議論が続いております。 その中で、今回の証券化支援業務において、買い取り基準は新築のものに限るということかと思いますけれども、それでは、今後、中古住宅の融資やリフォームローンについて証券化は行われないのか、今後どのように考えているのかについてお聞かせをいただきたいと思います。 |
| 松野政府参考人 | お答えいたします。 今回の証券化支援業務におきましては、まずスタートの時点ですが、新築住宅に限るということにしております。これは、現行の資産担保証券、公庫のMBSでございますが、新築の個人住宅に対象債権を限定しているところでございますけれども、今公庫の方から申し上げましたとおり、政策的には中古も含めて融資を実施するということをやっておりますけれども、MBSにつきましては、これを市場の中で証券化市場がどう評価するかという別の問題がございます。 委員も御指摘になりましたとおり、中古住宅市場というのが、我が国の場合、経過年数に伴って下落傾向がちょっと大きいということがございます。したがいまして、ローンの証券化の際に格付機関が格付をする際に、MBSの格付で、中古住宅につきましては、どういう評価をしたらいいのかということも含めて、まだ十分な評価方法が整備されていないというようなことがございまして、その債券を無理やり発行いたしますと利回りがかなり大きいものになってしまうという可能性がございます。証券化市場を育成するという観点からも、均一の、一定のものをどんどん出していくという必要がございますので、当面、新築住宅に限定して実施していきたいと考えております。 なお、今後は、議員も御指摘になったとおり、中古住宅市場を育成していって、新築といわば遜色のないような評価がされるような市場になっていったときには、証券化支援事業の対象となるということが十分あり得る時代が来るのではないかと思います。そういった意味でも、中古住宅市場の整備を進めていくということをまず第一に考えて、今後の検討課題としたいと思っております。 |
| 松野(博)委員 | 私は、日本の住宅政策は、今後、例えば子育ての状況ですとか生活の変化等、ライフステージによって住宅をどんどん買いかえをしていくというような生き方というのがどんどん多くなってくるのではないかというふうに思いますけれども、それには、中古住宅市場というのがしっかりと整備をされるということが重要であるかと思います。 今回、証券化支援業務において買い取り基準が新築住宅に限るというのは、導入当初の問題としていたし方ないのかなという気もいたしますけれども、そのことがかえって中古住宅の上物の価格下落に拍車をかけるようなことがないように、ぜひ、ともどもにこちらの制度の充実も図っていただきたいというふうに思います。 いろいろと議論がありますけれども、今回の法改正の中において、今後、公庫が独立行政法人化された後も、要は、住宅購入を望む国民がしっかりと住宅ローンを利用できる、国民がそのことで困るようなことにならないというのが最も重要なことであります。 その観点で、今回の証券化支援業務を導入したときに、本当に民間の金融機関が長期固定金利型の住宅ローンを国民が困らないようにしっかりと発行していくのかどうか。そのときに、民間金融機関も商売でありますから、民間金融機関がこの住宅ローンを取り扱うに当たっての何らかのモチベーションが必要であるかと思いますけれども、金融機関の具体的な調整の立場にある住宅金融公庫はどういうような施策を考えているのか、お話をいただきたいと思います。 |
| 吉井政府参考人 | お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のとおり、公庫が独立行政法人になった後も、国民の住宅取得に対するローンが的確に行われるということが一番大事なことだと思います。 私どもといたしましては、今回の証券化支援事業につきましては、長期固定の住宅ローンにつきまして、民間金融機関から安定的な供給がなされるということを目的としたものでございますので、これに向けまして、現在、関係の民間金融機関等と協議を重ねているところでございます。 証券化支援事業が実際始まるまでには、まず、この法律案を成立させていただいた後、関係法令が整備された段階で事業実施に係る協定等を締結いたしまして、また、必要なシステムの整備等を行っていただくことになるわけでございます。 これまでも、民間金融機関との間で、制度の仕組みでございますとか事務処理の方法、会計処理、システム対応等について実務的な協議を重ねてきたところでございまして、これまでの協議を通じまして、証券化支援事業の意義については御理解いただいておりまして、事業の参画につき前向きに検討していただいておると私ども認識しておるところでございます。 また、公庫といたしましては、先ほど来お話が出ておりますが、これまでの証券の発行実績もございますし、高い格付を有して安定的に発行しております公庫MBSと今回の買い取り債権に係りますMBSを一体として発行することによりまして、より低利な長期固定の民間住宅ローンを出しやすくなるようなことの環境整備に努めてまいりたいと思っておるところでございます。 |
| 松野(博)委員 | これは、先ほど栗原先生の質問の中にもありましたけれども、よく、米国の住宅ローン市場の話がモデルケースとして出されるわけでありますが、住宅ローンが国債に匹敵するぐらいの大きな市場を形成しているアメリカにおいても、このMBSが現状の段階に至るには三十年近い年月を要しているというふうに伺っております。 そうすると、なかなか証券化ということに関しての歴史が浅い日本において、住宅ローンが有効に機能するほどに本当に独立行政法人に移行までの間に育つのかなという疑問が浮かんでくるわけでありますが、何よりも、国民が、独立行政法人化された後も住宅ローンで困らないという状況をしっかりとつくっていかなければなりません。 そのためには、先ほど来議論の中にありますように、独立行政法人になったにしても、その場の状況にもよると思いますが、引き続きある程度の融資機能というのを独立行政法人の中にしっかり残していくということが大事だと思いますが、そのことについてもう一度お伺いをさせていただきたいと思います。 |
| 高木大臣政務官 | 今、松野委員御指摘のとおり、アメリカにおきましては、この住宅ローン債権の証券化につきましては、定着するまでは約三十年ぐらいの期間を要したというふうに認識しておりますけれども、そういうような状況で、我が国においては、まだその証券化市場が未成熟な状態であることは事実であると思います。 そんな中で、証券化支援事業を導入する当初の段階におきましては、既に資産担保証券を発行した実績を有する住宅金融公庫が積極的に民間金融機関の住宅ローンを買い取り、公庫の名で債券を計画的、安定的かつ継続的に発行することによって証券化市場の形成を図っていくことが、民間でも長期固定金利の住宅ローンを出しやすくなる環境を整える上で最も有効な手段であると考えています。 その上で、今御指摘ありましたように、独立行政法人になっても融資機能を残していくべきではないかという御意見でございますけれども、公庫を廃止して新たな独立行政法人を設置する際におきまして、民間金融機関が長期固定金利の住宅ローンを円滑かつ安定的に供給しているか等を勘案して最終決定するというふうになっておりますので、その際に、我が国の住宅ローン市場の状況を十分勘案した上で融資機能の取り扱いについては政府として適切に判断していきたい、このように考えております。 |
| 松野(博)委員 | 以上で質問を終わります。 |