日本道路公団等の民営化に関する法案
平成16年4月13日(火曜日) 国土交通委員会
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| 望月委員長代理 | 松野博一君。 |
| 松野(博)委員 | 自由民主党の松野博一でございます。 参考人の皆様、御苦労さまでございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。 石田参考人にお聞きをしたいというふうに思いますが、高速道路が現在まで日本の経済の発展ですとか社会生活の利便性の向上等に大きな役割を果たしてきたことは、これはひとしく国民が認めるところでありますけれども、しかし、一方で、今も議論に上っておりましたプール制の功罪の指摘もありました。これは、今までの参考人の議論の中にありましたとおり、一体、日本の中において、国民にとって必要な高速道路というのはどの程度のものなのかという議論が国民の中に今まで合意形成がされてこなかったということが一番大きな問題となってきているのではないかなというふうに考えております。 国の方としては、一応さまざまな機関を通して、いわゆる九三四二ですとか、等々の数値的な目標を今まで挙げてきたわけであります。先ほど、加藤参考人のお話の中で、高速道路の整備率の評価として、総延長という観点以外にも、例えば、人口一人当たりの観点でありますとか面積当たりのキロ数でありますとか、そういった観点もあるのではないかという御指摘もありました。 そこで、今後、日本の経済の成長のあり方ですとか社会構造、さまざまな要因を考えたときに、これからの高速道路の整備というのはここまで必要ではないかというような御意見、イメージをお持ちであれば、お話をお伺いしたいと思いますし、その場合の、こういったことを基準としてみんなが議論していけばいいのではないかというような基準に関する御意見がございましたら、ぜひお教えをいただきたいというふうに思います。 |
| 石田参考人 | なかなか難しい問題でございまして、的確なお答えができるかどうかわからないんですけれども、まず第一に重要なことは、ナショナルミニマムをどう考えるかということだと思います。 ナショナルミニマムあるいはシビルミニマムというのは、概念自体は非常に古くて、かつ、だれでもおっしゃる言葉なんですけれども、実際にミニマムを数字レベルで表現したということは余りないように思われます。そういう中で、一万四千キロの議論のときに、どこに住んでいても一時間以内で高速道路に到達できるということ、そういうことがやはりミニマムじゃないかなという議論がなされたことは、これは非常に大きなことではないのかなというふうに思います。 そのほかにも、リダンダンシーですね。大規模災害時に本当に大々的なネットワークがきちんと確保できるだろうかとか、あるいは、今盛んに言われておりますけれども、効率性、採算性の問題等もあろうかと思いますけれども、やはり私は、最低限のサービスレベルはこれをきちんと確保します、そのためにも、ある区間は有料道路方式、ある区間は新直轄で、あるいはそうでないところも中には出てくるかもわかりませんけれども、そのようなときには、国土計画的な観点から土地利用も踏まえて考えるべきであろうというふうに思います。 そういう意味からすると、プール制、プール制ということで、なかなか、加藤先生もおっしゃるようにどうかという向きもあるんでしょうけれども、一概に否定できない面があろうかと思います。 これは、全国あるいは地域のプール制の対極をなすものに、鉄道の新規路線の例がございます。日本の鉄道は、世界に比べますと、事業者間を超えて相互直通運転をしてございますけれども、ただし、鉄道の区間については事業者が違います。 例えば、いい例を申し上げますと、千葉ニュータウンに北総線という線が入ってございますけれども、ここは千葉ニュータウンの中だけでの事業採算性を確保することを義務づけられた、そういうスキームになっております。プール制の対極でございます。その結果どういうことになっているかというと、非常に料金が高くなってどなたも使わない、需要が低迷をしているというふうになってございます。 それを対極にすると、これは、せっかく建設したものが非常に料金が高くなって使っていただけないというゆゆしき問題もございますので、バランスの問題ではございますけれども、やはりある程度の内部補助につきましてはネットワーク性が非常に大事なものでございます。そういうことで、中でナショナルミニマムの発言もできるのではないのかなというふうに思いますので、プール制について一言つけ加えさせていただきました。 |
| 松野(博)委員 | 引き続き石田参考人にお聞きをしたいと思いますが、本法案の一番の大きなポイントというのは、償還期間を四十五年と法令上に定めて、国民の負担を最小限にしながら債務をしっかりと返済をしていくんだというところにあるというふうに思います。石田参考人は、今回のスキームの中で、この四十五年間という年限で債務がしっかりと償還をされていけるというふうにお考えでしょうか。 |
| 石田参考人 | 絶対かと申し上げますと、絶対になるように努力していただく、そのためのスキーム、これは法案もそうですけれども、今後いろいろな規則をつくっていただくということが必要になろうかと思います。 ただ、言えることは、債務の返還計画の前提となっているもの、需要予測、人口の動向、経済の動向あるいは金利の動向等、今ある中で一番の信頼が持てる、そういう方法論でありますし、何度も申し上げておりますように、今の中ではデータが公開されている。データを公開する、プロセスを公開する、議論を公開するということが、そういう精度を高めたり信頼性を高める非常に大きな源泉だろうと思います。 だから、そういうことをこれからうまく構築して、かつ、実際に運用していけば、四十五年というのは、かなりの確度で返済が可能ではないのかな、そういう年限の数値だと思います。 |
| 松野(博)委員 | 加藤参考人にお伺いをしたいと思います。 先ほど参考人の御指摘の中で、四十五年間の償還期間の中において債務を返還する、担保する制度、仕組みがないではないかという御指摘がありましたが、それでは、例えば、この四十五年間という償還期間を定めて返還をしていくという上において、こういった担保できる制度があればいい、また仕組みになっていればいいということがありましたら、お話をいただきたいというふうに思います。 |
| 加藤参考人 | 四十五年というふうに決めるということは、これも先ほどの繰り返しになって恐縮ですけれども、いわゆる償還主義というものを維持するということです。ですから、私は、ここにほぼ致命的に問題があるとやはり言わざるを得ないと思うんですね。ですから、これを担保する仕組みというのは、私の頭ではすぐには残念ながら出てきません。 やはり、これが何年であれ、例えば、何年で返せるであろうという見通しをつけて、それでその見通しになるべく近づくようにやっていく仕組みはあるんだと思います。私は、それが本来の民営化の形だったんだと思います。 ですから、再々申し上げますけれども、民営化することが目的では全くないわけですね。しかし、やはり民営化という形をとって、先ほどから上村参考人も何回かおっしゃいましたけれども、そこにかかわる経営責任者あるいは従業員全体が打って一丸となってそれに邁進する仕組みというのが私はやはり民営化であって、その民営化ということによって、金利の安いところからお金を借りてくる、あるいは、どうしてもこれはつくると返せないと思えばそこはつくらないというような仕掛けができてくるんではないか。 ですから、先ほどから、じゃ、建設はどうするんだ、建設も必要ではないか、そういう議論は当然あると思います。それはそれで私は、違う仕組みでつくっていく。それは例えば、国が直接税金でつくる、あるいは国民全体にとって必ずしも必要でないとしても、それは地域地域で必要であれば、その地方でお金をある程度負担してつくるというような別の仕組みでつくる、そこを切り分けるべきではないか。切り分けることによって、結果的にこの四十兆というものがなるべく早く、しかも税金投入を少なくして返せる仕組みができていくということに尽きると考えております。 |
| 松野(博)委員 | 加藤参考人にもう一問お聞きをしたいというふうに思います。 先ほど来の議論の中で、やはり一番の目的というのは高速道路を初め道路というものがもたらす経済性を含めた総体的な公益、国民益みたいなものをどう実現していくかということにあるんだという話がありました。 その中で、経済性の分野というのは比較的、大勢の皆さんが議論をするときに、数字上の問題で基準が明確になりやすい分野でありますけれども、高速道路が持つ使命の経済性以外の部分といいますか、例えば、参考人の議論の中にもありましたけれども、国防に関する役目、防災に関する役目、また、国民が高速道路の利便性を享受する、そういった面、こういった非経済面に関して評価をしていく、織り込んでいくときに、なかなか議論というのが地域地域によっても違ってまいりますし、その人その人、業界によってもまた違ってくると思うんですが、こういったものを、非経済性の分野を合理的に評価に組み込んでいく方法論ですとか手法、基準値みたいなものがおありでしたらお話をいただきたいというふうに思います。 |
| 加藤参考人 | これも、私はその専門家ではありませんから、具体的にどういうふうにすればと言うことを持ち合わせているわけではありません。 ただ、先ほどから幾つか上がりました国防ですとか病人をすぐに運べるかというようなこと、これはやはり私は、高速道路というものがすべてを解決する最大の手段だと考える必要はないんではないか。 例えば、なるべく速く十分な施設が整った病院に運ぶということであれば、じゃ、高速道路をつくるかわりにヘリコプターを何台か常に用意しておいてという方が私ははるかに安く済むと思いますし、恐らく速く運べるんだと思います。国防上高速道路は全国津々浦々に至るところまで必要かというと、私はそれは必ずしもそうでもないんじゃないかと思いますし、じゃ、高速道路のかわりにそこに自衛隊あるいは米軍の基地があった方がいいではないかということを申し上げると、恐らく、いやいや、それはちょっと困るということも出てくると思います。ですから私は、そこはより柔軟に考えるべきではないのかな。 先ほど来、ナショナルミニマムという言葉が出てきております。このミニマムという言葉は大変によくわからない。これも先ほど石田参考人がおっしゃったとおり、私も全くそのとおりだと思います。 御参考までに申し上げますと、やや古い言い方をすると、やはりナショナルミニマムというのは、日本について言いますと、何にもないときに、子供が新しく世帯を持つに当たって、とても古い言い方かもわからないですが、なべかま布団ぐらいを親が用意してやろうか、そういう趣旨で、そのナショナルミニマムを達成するためにつくった仕組みの一つが例えば地方交付税といったようなものだと思います。それがいつの間にか、子供の方は、いやいや、やはり洗濯機も冷蔵庫も要るし、車も要るし、テレビも要るし、はっと気がついたら各部屋にテレビが一台ずつあるぐらいのところになってもまだナショナルミニマムは達成されていないというような、今の日本というのはそういう状況に近いんじゃないかと思っております。 ちなみに、平成の初めから十年余りで、いわゆるナショナルミニマムを達成するのに必要、それを国が補助する仕組みである交付税、その交付税の算定根拠になる基準財政需要額というのが、平成になってから後の十年余りで倍になっているわけです。私はこれ自体も、ミニマムというのは何かという、余りそのレベルではなくて、個々にもっと柔軟な発想で、何が必要か、あるいは経済の発展とは何かということについて考える必要があるんじゃないかと考えております。 |
| 松野(博)委員 | 時間の関係で最後の質問になるかと思いますけれども、石田参考人にお聞きをしたいというふうに思います。 民営化論という議論の中で、一方で高速道路無料化という案、議論も出ているわけであります。今の加藤参考人のお話の中にも、すべてを民営化という取り組み以外にもさまざまな、直轄方式とのバランスが大事じゃないかというお話もございました。 この高速道路を無料化して、税を投入しながら債務の返済を図っていくんだ、また必要な道路をつくっていくんだ、そういうお考えに関してどのようなお考え、評価をされているかをお聞きしたいというふうに思います。 |
| 石田参考人 | 今回の法案でも、最終的、四十五年後までには無料化をするということで、同じところを目指していられるのだろうと思います。ただし、そのプロセスが違うということでございます。 今回の法案の目的にもありますように、やはり四十兆円にも上る債務をどう確実に返済するかということが非常に大きな問題でございます。 そのときに、日本の高速道路は、なるほど料金は世界最高で高いんですけれども、実際に高速道路を選択される方は、高いとは思われるものの、料金以上の便益を何らかの形で認められている、あるいは公正妥当なものであろうということの認識の上にお金を払って高速道路を選択される、そういう行為をされているわけですね。その選択の結果が年間二兆円以上にも上る料金の収入であるということでございます。 これは、今必ずしも国の、あるいは有料道路の原則にはなっておりませんけれども、サービスに対する対価だというふうにも思っていられる方、感じていられる国民の方も、ユーザーの方も多いんではないのかなと思います。そのことをやはりどう考えるか、その収入をどう生かすかという観点がまず一点だと思います。 それと、税を投入するということは、今まで使っていたところへの税の投入ができないということになります。例えば、都市内では環境問題あるいは安全の問題あるいは混雑の問題ということで、ますます、私自身はまだまだ道路整備が必要だというふうに思っておりますし、地方部におきましても、先ほども申しましたけれども、リダンダンシーの問題とか、あるいは防災上の配慮といった観点から、必要性は非常に高い。必要性が高いにもかかわらず、そこへ充当できる資源を高速道路だけに充当するというのは、いささか問題もあろうかなというふうに思っております。 以上でございます。 |
| 松野(博)委員 | 地域経済の立場から、また企業経営の立場から、飛松参考人、上村参考人にお話をお伺いしたかったんですが、ちょっと時間の関係でできませんでした。おわびを申し上げます。 どうもありがとうございました。 |